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コロナ禍とマスクとコミュニケーション
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マスクが与えるコミュニケーションへの影響について
マスクへの安心感
マスクをすることは、感染予防のためにとても大切なことです。そのため、今私たちはどのような場面でもほとんどマスクをして生活をしています。外すときは、一人でいるときや一緒に住んでいる家族と一緒の時、食事の時、入浴時や寝る時くらいでしょうか……。(先日温泉に行ったのですが、湯船の中でもマスクをしている人を見かけました。)マスクをしていることで、感染しないという安心感がそこにあります。
一方で、実はもう一つの安心感もあるようです。自分の表情を相手に見られないという安心感です。(逆をいうと、相手の表情を見ないでよい安心感にもなるということもあります。)
マスクをして安心できることや良かったと思うことは
- 感染予防になる
- 鼻の下は隠れるので、フルメイクしなくてもいいし、無精ひげもそらなくてもいい
- すっぴんを隠せる
- 小顔効果
- 人と会いたくないときに、自分だとばれにくい
- わざわざ笑顔を作らなくてもいい
- 表情を隠せるから相手から自分の心を守れる
- 相手の表情が分からないから、気をつかわなくてもいい などです
つまり、マスクは、感染予防のためだけではなく、自分の中のネガティブな情報を相手に伝わりにくくし自分を守るアイテムとなっている人もいるということなのです
もしかしたら自分も、上記のようにマスクをしたくなる気持ちの時には、感染予防という気持ち以外の心理が働いているかもしれません。そういった心理的に自分を守るためにマスクをしている気持ちが強い場合は、もしかしたら、今後マスクを外しにくくなるといったことが起きるかもしれません。そのことで困らないように、自分は今どんな気持ちでマスクをはめているのだろうかと、考えてみるのもいいかもしれませんね。
実は以前から、「伊達メガネ」ならぬ「伊達マスク」というものがありました。マスクをはめて行動する方が安心するといった「マスク依存」というのは今に始まったことではありません。そういった人たちにとっては、マスクのおかげで、社会的な行動範囲が広がるという良い点もあるので、一概に悪いことではないようです。
マスクがコミュニケーションを複雑にしている
マスクをはめていると、顔の目の部分の他は隠れてしまいます。『目は口ほどにものをいう』ということわざもあり、目の表情でわかる場合もありますが、口や鼻の観察ができないのでしっかりと表情を確認することができにくいですね。
ある小学校の先生にマスクの影響についてインタビューしたときに、「クラスの子どもたちから、怒っているわけではないのに、先生の目が怒っている!」と言われて、複雑な気持ちになったと言われていました。
研修やセミナーなどで耳にする「メラビアンの法則」(1971年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した概念)に「7-38-55のルール」というものがあります。その「7-38-55のルール」とは、感情を伴った表現では、見た目やしぐさや表情や視線が55%を占め、声の質や大きさや話す速さや口調が38%、言葉そのものの意味や会話の内容7%占めてるということを表しています。
つまり、感情のともなった表現をする時は、見た目やしぐさや表情が約半分も相手に影響しており、マスクをしているとその部分が伝わりにくくなるということです。
だとすると相手がマスクをしている時は、相手の感情を読みにくいし、また、こちらの感情も読まれにくいということになります。
相手に感情までしっかり伝えたいときは、表情で読まれにくい分、マスクをしていない時よりも余計に言葉や身振り手振りで表現する必要があるかもしれませんね。
これまで、「気持ちは、何も言わなくても察してほしい」と思っていた人にとっては、マスクをしているとよけいに察してもらいにくいので、あえて気持ちをしっかり言葉にしないといけません。しかし、「察してほしい」と思う人ほど、自分で気持ちを表現することが苦手な場合が多いので、ストレスになっているのではないでしょうか。
このように、マスクによって感情をともなったコミュニケーションがしにくくなっているので、これからは言葉でのコミュニケーションを頑張らないといけません。言葉でのコミュニケーションが苦手な人には、余計にトレスになってしまうのかもしれませんね。
マスクを上手にはめたり外したり
セミナーや講座の際には、必ずマスクを着用していますが、必ず最初にマスクを外して笑顔を見せるようにしています。笑顔は相手に安心感を与えますし、また、勝手にマスクの中の顔を想像してもらいたくないというのもあります。
人は隠れている部分が分からないときは、自分にとって気持ちの良いように平均的な形を想像するという研究もされているようです。ですから、初対面の人に合う場合、その後も関係が続きそうな場合はマスクを外して本当の顔を見せておいた方が、相手の想像とのギャップも少ないというわけです。
また、マスクの下の表情が見えないと、「相手の表情を見て学ぶ」ということができません。そこで、小学校低学年の先生に、しゃべらないときはマスクを外して表情を見せて、いろんな表情の練習をしてみては?と提案をしてみました。さっそく、実行されているところもあるようです。先生自身も、時には笑顔を子どもたちに見せて、本当はこんな笑顔の先生だよ~って、安心させる必要もあるかもしれませんね。
以上のようにマスクの影響は大きいようです。
本当にマスクが必要な時に着用し、そうではないときは外してみる、など、今のうちに、上手にマスク着用のコントロールをする必要がありそうですね