ブログ

Blog

部下と上司の認識のズレについて①~評価のズレ~

メンタルヘルスマネジメント

部下と上司の認識のズレについて①~評価のズレ~

職場の人間関係や仕事上の悩みで、相談件数が多い内容の一つに、職場の上司と部下の間の認識のズレの問題があります。今回はその中の『評価のズレ』についてお伝えします。


「まさか自分があんな評価だなんて、思ってもみませんでした。これからどうしたらよいか分かりません。」

「一生件目頑張ってきたのに、評価してもらえなかったなんて、とても残念です。納得いきません。」

「ヒアリングで評価についてご説明したのですが、納得されず困っています。」


カウンセリングや相談の中で上記のようなことを耳にすることがよくあります。従業員にとっても、その上司にとっても、当然会社にとっても切実な問題と言えます。

社員の自己評価と会社側からの他者評価にズレが生じてしまうと、部下にとってモチベーションの低下になります。また、上司や会社に不信感を抱き、その後の仕事のパフォーマンスに影響が出たり、精神的な疾患となり休職や退職に発展することもあります。トラブルに発展して、会社全体で対処しなければならないということもあるのです。

しかし、それは、日頃から部下に対して正しく評価をしようと心がけているにも関わらず、そういった問題が起きてしまうということが大半なのです。そういったことが繰り返されると、継続雇用が難しくなったり、もしかすると悪い口コミを流され、人材確保にも影響が出るかもしれません。

それでは、なぜそういったことが起きてしまうのでしょうか。今回はその原因ついて述べたいと思います。

部下と上司の間になぜズレが生じるのか

そもそもなぜ、認識にズレが生じるのか。

認識のズレは、仕事上に限ったことではありません。友人同士やパートナー、家族の間など、日常の生活の中でも起きることです。それは、自分が見たり聞いたりしたことについての捉え方が、相手や周囲の捉え方に違いがあるからです。

私たちは、それぞれに、物事の良し悪しについての判断の物差しや、情報の捉え方、価値観は異なります。事実から推測することも、それぞれの経験や体験によって変わってきます。ですから、何か情報を受け取ったときの捉え方には人それぞれに違いが生じるということなのです。だから、違っていて当たり前だということも知っておかなければいけません。

人は、間違っていると分かると正したくなる生き物です。ですから、もしも、自分の認識と相手や周囲の認識が違っていると分かると、違っていることを伝え、正しい情報を相手に伝えるということを行います。しかし、自分が受け取った情報や、与えた情報が間違いなく伝わっており、自分の捉え方と同じだと思ってしまうと、そのままにしてしまいます。もしもそこに違いが生じていたとすると、それが『認識のズレ』となってしまうのです。

つまり、認識のズレが生じるのは、自分が受け取った情報や与えた情報が、自分の捉え方や価値観や推測や判断と同じように相手にも伝わっていて、自分と同じように相手も捉えていると思ってしまうからだということが言えるのです。

そういった、情報の捉え方には、これまで述べた、それまでの経験や体験からくる価値観や考え方と、その人が持っている情報処理や認識の能力があります。そちらにしても、ズレが生じてしまうことには変わらないので、工夫を凝らす必要があります。

「評価のズレ」が生じる原因

先に述べたように、認識のズレは、お互いの認識の違いから生じます。「評価のズレ」は仕事上での評価の認識が本人の自己評価と上司や会社の他者評価との間にズレが生じているということになります。

具体的には、上司や会社側は「できていない」「あまりよくはなかった」「基準を満たしていない」と評価してるのにもかかわらず、本人は「できている」あるいは「悪いわけではない」「基準は満たされている」と感じているというふうに自己評価しているということです。

なぜ、そんなことが起きるのでしょうか。

その原因を5つ挙げてみました

  1. そもそも仕事を受ける時点で、間違った解釈をしていた
  2. 仕事の途中でミスや納期の先延ばしが起きてしまったが、最終的にやり終えたことで100点だと思ってしまった
  3. 会社側からすると十分ではない仕事の出来栄えに対して、ダメ出しをされたことを「仕事の追加」と思い違いをしてしまい、100点以上の仕事をしたと勘違いしてしまった
  4. 実際の『実働』が、会社の求める基準には届いていなかったが、とにかく自分は一生懸命努力をして頑張ったので、その努力や姿勢を評価してもらえると思っていた
  5. 仕事を終えたときに、特に何も言われなかったので、できていると思っていた

如何でしたか?なるほど!と思った方もいらっしゃるかもしれません。この「評価のズレ」は、直接報酬に関わってくるので、どちらにも大変重要な問題と言えます。

次回は、その具体的な対処法についてお話したいと思います。