ブログ
Blog
もう「理詰め」だと感じさせない!説明後の「質問」が、部下の才能と信頼を引き出す鍵
コミュニケーション

📝 熱意が「理詰め」に変わる構造的なジレンマ
部下の才能を開花させたいと願う上司は、自らの時間と知識を費やし、業務の背景、目的、そして実行の論理を、理路整然と説明しようと努めます。しかし、その熱意ある説明が、意図せず部下にとって「一方的な理詰め」として受け取られ、かえって心のシャッターを降ろさせていたり、パワハラだと高圧的だと受け取られたり――そんなジレンマに頻繁に直面します。
この不安の根源は、上司が陥りやすい「何を伝えたか」という発信側の論理と、「どのように伝わったか」という受信側の実態との間に生じる、決定的なギャップにあります。部下育成に真摯な上司ほど、「論理的に正しい説明」を尽くすため、このギャップに無自覚になりがちです。
今回の記事では、この「伝えたつもり」の構造を解体し、上司の熱意が正しく部下の成長を促すためのコミュニケーション戦略をご提案します。それは、単なる説明で終わらせず、意図的に「キャッチボール」の仕組みを設計することで、部下の不安や懸念という内面的な状態を確実に把握し、信頼関係に基づいた建設的な「対話」を成立させる方法です。
あなたの説明を「理詰め」から「相互作用」へと昇華させるための、上司の「認識の転換」と「アプローチの構造化」について深く考察していきます。
🙅♂️ 「何を伝えたか」に終始する説明の限界:なぜ「理詰め」だと感じられてしまうのか?
「理詰め」とは、論理が正しいか否かという問題ではありません。部下が「理詰めだ」と感じる背景には、「私の状況や感情が考慮されていない」という強い孤立感が隠れています。
上司の視点では、
-
目的を明確に示している(合理的)
-
手順を論理的に説明している(効率的)
-
部下の成長のために時間をかけている(親切心)
しかし、この一方的な情報の「投下」は、ややもすれば受信側である部下の「内面的な状態」を無視した行為になりかねません。部下の心の中では、「説明は理解したが、自分のスキルレベルで実行できるか不安だ」「この指示の裏には、自分の苦手な作業が隠れていそうだ」といった様々な「困り感」が発生しています。
上司がこれらの困り感を把握せず、一方的に説明を終えてしまうと、部下は「私の不安や疑問を尋ねてくれる機会すらない」と感じ、「これは自分に有無を言わさず押し付けられたタスクだ」と認識します。ここに、論理的に正しい説明が「理詰め」へと変質する構造的な要因が存在するのです。
大切なのは、「何を伝えたか」という発信側の責任に留まらず、「相手にどう伝わったか」という受信側の状態を把握する責任も、上司が負うという認識を持つことです。
🔄 「理詰め」を「対話」に変える:上司の認識と責任の転換
一方的な説明を部下の成長を促す「対話」に変えるには、上司自身の認識とコミュニケーションに対するアプローチの転換が必要です。
1. 認識の転換:目的は「相互作用」である
❌ 従来の認識(理詰めに陥りやすい構造)
- コミュニケーションの目的は「正しく理解させること」
- 一方的な「情報投下」で説明責任を果たす
- 上司は「説明者」として振る舞う
✅ 新たな認識(対話を生む構造)
- コミュニケーションの目的は「相互理解を築くこと」
- 双方向の「相互作用(キャッチボール)」を通じて共創する
- 上司は「受信アンテナ」として機能し、部下の状態を把握する
2. アプローチの転換:「キャッチボール」の義務化
上司の役割は、説明を「投げる」ことの完了ではなく、部下がその説明を消化し、発生した「不安や疑問」というボールを確実に「受け取る」ことにあります。この「受け取る」プロセスを、個人の気分や部下の性格に依存させるのではなく、コミュニケーションの構造として組み込むことが極めて重要です。
🎣 コミュニケーションを構造化する「キャッチボール」戦略:不安を受け取る3つのステップ
説明に対する部下の懸念や不安感(困り感)を受け取る「キャッチボール」のプロセスを意図的に組み込むことで、一方的な「理詰め」の構造を解体し、心理的安全性を高める対話へと転換します。
ステップ1:「明確なボールを投げる」(説明と期待の提示)
あなたが伝えたい「目的」と「論理」を丁寧に説明し、期待する成果を明確にします。ここで重要なのは、「分かってほしい」という熱意を、論理的な裏付けとともに部下に伝えることです。
-
伝達事項の分解: 複雑な内容ほど、一度に全てを説明せず、論理的なセクションに分けて説明します。
-
「上司の思い」の言語化: 「この仕事を通じて、君にこのスキルを習得してほしいと思っている」など、上司の期待や意図を正直に伝えます。これにより、説明が単なる「命令」ではなく「成長への投資」であるという認識が伝わります。
ステップ2:「ボールを投げ返す仕組み」(意図的な質問と沈黙)
説明後、すぐに次の話題に移らず、必ず「受け取り側の状態」を把握するための時間を設けます。
-
不安の言語化を促す問い: 質問は「理解できたか?」というYes/Noで答えられるクローズドクエスチョンではなく、「どこがわからないか」を特定させる問いかけを使います。
-
例:「今の内容について、率直に不安に感じている部分はあるか?」
-
例:「この指示の最初の3ステップを実行するとして、どこに一番の懸念がある?」
-
-
「沈黙」の提供: 質問を投げた後、部下が言葉を探すための「沈黙」を意図的に設けます。上司が沈黙を恐れてすぐに話し始めると、部下は質問の機会を奪われたと感じてしまいます。この沈黙は、「私はあなたの言葉を待っている」という強いメッセージになります。
ステップ3:「意図的な受け止め」(困り感の承認と定義)
部下から返ってきた言葉(疑問、不安、懸念)は、「説明不足」や「能力不足」として捉えるのではなく、「部下の内面的な状態」と「組織の盲点」として受け止めます。
-
感情の承認: 部下の不安や懸念に対して、「そう感じたのは当然だ」「それは重要なポイントだ」と、まずはその感情や視点を承認します。これにより、部下は「SOSを出しても安全である」という心理的安全性(心理的セーフティネット)を感じることができます。
-
困り感の定義と分解: 抽象的な不安を具体的なタスクやリソースの問題に分解し直します。
-
不安:「全体の目標が大きすぎて無理そうです」
-
上司の応答:「なるほど。では、この目標達成に必要なステップのうち、現時点で最もリソースが不足していると感じる部分はどこだろうか?」
-
この「困り感を受け取る姿勢」こそが、「理詰めの不安」を解消し、上司が単なる情報の提供者ではなく、「困り事を一緒に解決するパートナー」であるという信頼を築くための鍵となります。
🔑 結論:何を伝えたかではなく相手にどう伝わったか
上司のコミュニケーションの責任は、「何を伝えたか」を記録することではなく、「相手にどう伝わり、どのような状態(不安、疑問、納得)を生み出したか」を把握し、その後の行動をサポートすることに集約されます。
熱意ある説明を「理詰め」とさせないためには、上司の「分かってほしい」という強い思いを適切に伝えつつも、それ以上に「受け取り側の状態をしっかりとキャッチする」姿勢と、そのための双方向の仕組みをデザインすることが求められます。
一方的に与えるだけでなく、部下の言葉を待つ姿勢こそが、部下との信頼関係を築き、あなたの真意を正しく伝えるための、最も戦略的なアプローチなのです。
研修やコンサルテーションのお問合せ
こちらのお問合せホームよりお願いいたします
【お問い合わせ方法】
こちらのフォーム https://laraport.jp/eap/eap-contact/よりお問合せ下さい
TEL.