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今からでも遅くない 「コロナうつ」 正しく知って正しく予防3
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2.「コロナうつ」の正体
まず、治療が必要な程度のものか、そうでないかで別人のように正体は違います。
ここを混同してしまうと「自分だって落ち込んで憂鬱なときもあったけど、根性で乗り切れたら元気になれた!鬱なんて気の持ちよう!」という変なアドバイスをしてしまい、周囲の人を休職や退職に導いてしまうこともありますので、注意が必要です。
また、今は治療が必要でないものでも、治療が必要な状態に変化することもありますので、油断は禁物ですが、まずは現状がどうなのか考えていきましょう。
<日常生活に変化があるかをチェック>
《集中力》
〇仕事の質は?ミスが多くなったりしていませんか?
- 変化はない。もしくは寧ろミスは減ってきている
- ミスは多少多くなったが、自分で気が付けたり、自分にも周囲にも大きな負担はない程度
- ミスの数が多かったり、重大なミスが続いたりと、自分にも周囲にも負担が増えてきている。
〇仕事のスピードは?いつもと同じ程度の仕事なのに、残業が増えていませんか?
- いつもと同じ。もしくはもっと仕事を任されても良いくらいの調子
- ややスピードが落ちているが、残業をしないといけないほどではない。もしくは週に1~2時間くらい増えた程度
- とてもスピードが落ちて残業が増えた。もしくは他の人に仕事をお願いしなければならない
《眠気》
〇眠れない、もしくは眠れているはずなのに仕事やプライベートに支障がある程度の眠気はありませんか?
- 日中眠くなることはない。
- 眠気があるときもあるが、すぐ回復出来る。
- 眠気が強い。もしくは毎日のように栄養ドリンクを飲まないと眠気が覚めず仕事にならない
《感情》
〇いつもよりも怒りや不安を感じることが多くありませんか?感情は環境や周りの人のせいにしがちですが、「今までだったら自分は同じ反応をしていたか」比較してみましょう
- 特に変化はない。もしくは何事も余裕をもって受け止められるようになっている
- 以前より少し感情の高ぶりが多いが、トラブルになったり、ひきずったりすることはない
- 感情が高ぶることが多く、トラブルが起きたり、ずっとそのことを考えていることが多くなった
《気力》
〇仕事に対していつもの自分と同じ程度に積極的に取り組むことが出来ていますか?ポイントは他者と比較するのではなく、いつもの自分と比較してください
- 特に変化はない。もしくは仕事に興味関心が高まっている
- いつもの自分より積極的に取り組めないが、仕事への支障はない程度
- 仕事に興味関心がなくなってきた。もしくはやらないといけないと思っても、手がつかない
〇趣味やこれまで楽しめていたことを今も楽しめていますか?
- 特に変化はない。もしくは新しい趣味が増えた
- やや楽しめている時間や充実感がいつもより減っているかもしれないが、楽しめてはいる
- 実行出来ていない。もしくは実行してもあまり楽しめていない
《体調》
〇原因の分からないだるさや痛みはありませんか?
- 元気です
- たまに痛みやだるさを感じることもあるが、すぐに良くなるので支障はない
- 毎日のようにじんわりだるさや痛みがある。もしくは数日に1度だが、日常に支障が出るだるさや痛みがある
〇便秘や下痢、蕁麻疹など、何らかの症状が出やすくなっていませんか?
- 特にない
- 言われてみれば、少し頻度が多い気がする
- 明らかに多くなっている
「3」がひとつでもあった方
「いくつ当てはまったら」というよりも、一つでも生活に支障をきたす程度の変化があれば要注意です。新型コロナなどからのストレスからうつ状態になっている可能性があります。でも大丈夫です。治療や対策を行えば改善できます。
目安としては支障が2週間続いていれば、受診をお勧めします。ここでポイントは「支障が出てから二週間」ということです。気が付いたのは今だけど、よく考えてみたら1ヶ月くらいまえから支障出ていたな…という際は、早めに受診をしてください。また、目安としては2週間ですので、つらくてたまらない時にはもっと早く受診されても良いですし、もう2ヶ月たっていた!やばい!どうしよう!と変に怖がらなくても大丈夫ですので、受診されてください。
また、受診の際に、「精神科・心療内科はなんだか敷居が高いし薬も強そうなので内科に行ってみよう」とされる方も多いですが、睡眠を調整するお薬でも、寝入りをよくする薬、長く眠れるようにする薬、眠りの質を良くする薬など様々な種類があります。胃腸科に行って風邪薬をもらうことは出来るかもしれませんが、細かな症状にあった薬は耳鼻科のほうが出してもらいやすいように、この場合は精神科や心療内科をお勧めします。また、精神科、心療内科で出される薬のほうが強いというのも思い込みですから安心されてください。寧ろ、専門外の科にかかって、いきなり強い薬を出されてしまい、ふらふらとなって怖かったのでもう薬なんて飲みたくない!お薬恐怖症になってしまった方もおられます。
餅は餅屋です。専門外のところに行き、あんころ餅怖いにならないようにしましょう。
また、まだ2週間たっていないし、早急に病院に行く必要も感じない方は、下記の②の方の対策に加えて、出来るだけ休養を多くとるように心がけて過ごしてみてください。
「2」が複数ついた方
なんとなく憂鬱だな「コロナうつ」と最近聞くけど、当てはまるのかな?などと感じている方もいるかもしれません。しかし、恐らくこの段階では気分転換やちょっとした休養で回復が出来る状態なのではないでしょうか?なのでうつ状態というよりも、「うつ状態風」ととらえた方が良いかもしれません。この状態とうつ病を混同してしまうので「気の持ちようでうつ病は治る」という間違った認識をする方が出てくるため、明確に線引きをする必要があります。
この段階では、自分の工夫によって、回復が可能です。しかしこのまま放っておくと治療が必要な状態になる可能性はあるので注意と対策が必要です
対策
十分な睡眠、食事の時間やバランス
これは健康にも大事ですが、ストレス対処にも大きな影響があります。全てを完璧に!というとなかなか取り組めないかもしれません。まずは今よりも少し良くするなら、どこから取り組んだらやりやすいかを考え、そこから少しずつ改善していきましょう
ストレス対処方
発散すること、休養すること、どちらが今の自分に必要なことか、心地よいのかまずは感じてみてください。いろいろと試してみるのが一番なのですが、簡単な方法としては、目を開けているほうが安心するのか目を閉じた方が安心するのかを試してみるのも良いでしょう。目を開けている時が心地よいなら、発散を中心に取り組んでください。つぶったほうが心地よい場合は、あなたの脳は刺激を遮断したほうが今は心地よいと感じる状態ですので、いつもよりもスマホやテレビを見る時間を減らすなど、やっていることを「減らす」ストレス対処を行ってみてください。
発散系例:運動する・食べる・友人と話をする・買い物をする・ドライブに行く
休養系例:ゆっくりお風呂に入る・寝る・自然の多い場所に行く・マッサージ
不必要なストレスの軽減:不安や怒りを煽るような情報をなるべく入れないようにする
ほぼ「1」だった方
健康ですね。素晴らしい。これは常日頃から自分のストレスマネジメントに留意されてこられているからなのではないでしょうか?
「はいそうです」と言う方は、もういう事はありません。私の代わりに記事を書いて頂きたいくらいです。周囲の方にもそれとなく、押しつけがましくない程度にその秘策を伝えて差し上げてください。また、もし余裕があれば周囲に「いつもと違う人」がいないか気を掛けてあげてもらえるとなお素晴らしいです。
「いいえ違います」と言う方は、ご自身がいろいろと工夫されているのに認めていらっしゃらないのだとしたら、勿体ないです。何が自分の健康を支えているのか今一度見直して、頑張っているところが見つかったら是非自分を褒めてあげてください。
「いいや、やっぱり何もしていない」と言う方は、もしかしたら負担が定年後どっと出るタイプかもしれません。「俺は何もしなくても元気!みんなもそのはず!気力だ!わっしょい!」となっている方は自分にも周囲にも無理をさせ過ぎている可能性があるので注意してください。
「働く人」にとっては、仕事中の変化がでていなければまだ大丈夫と思いがちですが、放っておくと支障のある範囲は広くなっていきます。
また、支障は仕事中から出るかプライベートかは人それぞれですので、仕事とプライベート両面同時にチェックしてください。この他にも「いつもの自分と何か変化はないか」「それは支障が出る程度の変化か」は定期的にチェックをしましょう。
自分で自分の変化には分かりにくいこともあります。周囲に「よく自分のこと見てくれているな」と思う人に、自分に何か変化があったら教えてもらえるように頼んでおくのも心強いですね。
ポイント
・「うつ状態」と「うつ状態風」は大きく違う、なので対処も違う
・「うつ状態風」も放っておけばうつ状態に変化するということを抑え、自分のことも周囲のこともどのような対処をとると良いか考えていく
まとめ
「コロナうつ」について、いろいろと考えてきました。少しは打ち勝てる相手のように思えてきたでしょうか?
どんな状況や出来事でも、これから先の自分の動きによって、良い変化をもたらすことは可能です。ただし、それは気力や根性だけではなく、情報、工夫、周囲の力を借りる能力、時には逃げも必要となるでしょう。
正しい選択は一つではありません。本当に?これでいい??と石橋を叩き割る前に少し動いてみても良いでしょう。その動きの一つとして、まずは信頼できる誰かや、専門家に話をしてみることから始めても良いかもしれませんね。